2025-12-24

リアルな絵を描く絵画技法!グレーズ技法について解説!

ご訪問くださりありがとうございます^^
油絵×心像画家の中西宇仁です。

今回は、油絵技法の1つであるグレーズ技法についてお話していこうと思います。
油絵と聞くとゴッホのように絵具を厚く塗った絵というイメージが一般的に持たれますが元々は、写真のようなリアリティを持たせる為に絵具を薄く塗り重ねる描き方から始まりました。

絵の具同士を混ぜ合わた色合いとは全く別次元の奥深い色彩を生み出せるこの技法を用いる事で表現力の深掘りに繋がります。

色を重ねる事で生まれる表現の技をご紹介しますね^^

【 グレーズ技法の歴史 】

グレーズ(glaze,glazing)とは表面を上塗りするという意味があり菓子や料理の表面を半透明の液体を塗りコーティングする膜の意味もあります。

起源は15世紀頃のヤン・ファン・エイクをはじめとしたフランドル派と呼ばれる画家達が初期段階の油絵世界を発展させた画家が生み出した技法です。
レオナルドダヴィンチもこの技法を用いて作品を描いています。

フランドル派とはヨーロッパ全土、特にフランドル地方で栄えた美術運動です。
ヤン・ファン・エイク、ヒエロニムス・ボス、ハンス・メムリクなどの画家がいますね。

リアルな自然体を表現し宗教画や肖像画が多く残されています。
それまではフレスコ画と呼ばれ壁に漆喰を塗りそこへ顔料を乗せた壁画や天井画が主流でしたが12世紀頃には既に油絵の具が存在し15世紀から油絵の具による表現がブームとなります。

油絵の具は顔料と乾性油を混ぜ合わせた絵具です。
油の科学的な硬化と透明性ある発色が特徴でグレーズ技法も絵の具の特性を活かした技です。

フレスコや油絵の具と画材の種類は異なりますがグレーズ技法そのものは古代文明の陶器や壁画ですでに発見されておりとても歴史ある古典技法です。

Wikipedia引用

【 グレーズ技法の特徴 】

グレーズの大きな特徴としては絵具の透明感を活かし、層状に重ねるの色彩の組み合わせでしょうか。

絵具や色を扱う場合、パレットに絵具を置き絵の具同士を混ぜ合わせて塗るという考えが一般的にあります。
複数の色を混ぜますが結果として出来上がる色は混ざり合った1色です。

グレーズ技法は絵具を混ぜるという事はせず、キャンバス上に塗られている下層の色の上から絵具を塗る事で1層目と2層目・・・x層目と重ねていく事で色の深み、奥行きを生み出し色の効果を強調する事が出来ます。

●視覚的な効果

どのように肉眼に写るのかというと、色が混ざらず重なってみえます。
例えば立体物があり薄暗くしたい場合、べちゃっと絵具を置くとその立体物が覆い隠されてしまいますがグレーズで描くと立体物を残しつつ薄い色合いを乗せる事ができ、奥行きを表せます。

逆に夜の街灯の光を表したければ光の上から暗い色を重ねる事で内側から光がにじみだすような描き方ができます。

●他の描き方との違い

グレーズ技法は、下層の絵具が乾いてから塗り重ねるので時間が掛かります。
他に似たような描き方でスカンブル技法というものがありますがこれは、スカンブル要素を持ちつつ思い切りある絵具を重ねるので透明性を活かすしたいならグレーズ技法ですね。

段階的に1つ1つ積み重ねていく描き方です。

【 グレーズ技法に必要な画材 】

グレーズは下層の上から色を被せるので絵具の性質を使い分ける必要があります。
必要な画材について紹介します!

●絵具は不透明で

油絵の具やアクリル絵の具には、一見同じ色でも性質が異なります。
それが、不透明絵の具・半透明 / 透明絵具です。
下層の上から絵具を塗る場合、覆い隠してしまうと意味がないので透明系絵具が有効です。

絵具のチューブに説明表記があるので選ぶ際には確認してみてください^^

絵具の塗り方についてはこちらでもご紹介しているので参考までにご覧ください^^

●筆

塗り重ねる時は、硬い毛ではなく柔らかい毛が塗りやすいです。
硬い毛で塗ると下層の絵の具の状態によっては剥がしてしまう事もあります。
塗るというより乗せるという感覚ですね。

筆の種類についてはこちらでご紹介しておりますので合わせてご覧ください!

下層の絵具をしっかり定着させたい場合は専用のオイルを挟むとしっかり定着するので塗る際に剝がれにくくなるので油絵の具を用いる際には、オイルとの組み合わせも意識してみると良いですね^^

【 グレーズ技法の基本的な描き方 】

難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが描き方はいたってシンプルです。
グレーズの基本的な塗り方についてご紹介しますね。

●1層目を塗る

下塗りや描き込む段階で絵具を塗ります。
ここでは、従来の塗り方と変わりません。
絵具が乾くのを待ちます。

●2層目以降を塗る

絵具(透明系)を薄く溶き、1層目に塗った色の上から重ねて塗ります。
下層の色を覆い隠さずに透明感を持たせられたらOKです!

●注意点

グレーズで塗る時の注意点として、下層の絵具が乾いているのを確認してから塗り重ねる事です。
乾いていないと重ねた時に下層の色を剥がしてしまったり色が濁ってしまいます。

絵具が乾くのを待つ必要があるのでそれなりに時間が掛かりますが急ぎたい時は乾燥促進剤を含めておくとペースを上げられます。

どうでしょうか、意外と工程はシンプルではないでしょうか?
基本的なグレーズを用いた描き方は単純ですが絵具の溶き具合や筆の使い方によって描き方が変わるので色々と試してみると色の深みを追求できます♪

【 グレーズ技法が向いている表現 】

グレーズ技法は、15世紀のリアリティある絵画で活用されておりました。
その為、静物や人物など自然界のモチーフが対象とされていましたがその縛りに捕らわれる必要はありません。

僕は半具象画(写実的と抽象的を混ぜたジャンル)が多いのですがテーマや表す為に必要であればこの技法を用いります。

まずは、グレーズ技法に慣れる事でどのような表現に繋げられるのか?、を知る事で表現の幅を広げられるようになります!

【 描き方より在り方 】

技法の捉え方は様々ですが僕は、上手く描く為の知恵ではなく技法を用いる事でどう在るか?、という事が大切だと僕は思います。

上手く描く、と意識すると上手く描く為のレールに乗り表現性が絞られてしまいますが技法を用いて自分の表現がどうなるのか?、と意識する事で固定概念に縛られずに広げられるようになります。

技法は絵を描く為の1つの手段です。
その手段に特化してしまうと限られてしまいかねないので本当に大切なのは手段を活かせる自分が何を描きたいのか?、という根っこの部分を見失わない事かなと思います。

自分の表現を深める為の1つの選択肢ですね^^

グレーズ技法は、昔の時代の画家達が試行錯誤をして生み出した技です。
過去の時代のものではありますが現代に生きる私達もそれを活用する事ができます。
先人達が時代を経て引き継いできた知恵は私達のスキルとして財産になります。

時を超えた技に触れてみるのもロマンがあるのかな~と思います♪

話は変わりご紹介となるのですが技法や絵のテクニックから写実的な表現への繋ぎ方や形のない抽象表現への応用など限定して無料でお届けしております。
マイペースに読み進められるのでお気軽にご覧くださいませ♪

オンラインを活用したマンツーマンでの絵描きサポート
などもご提供しております。

また無料相談も受け付けておりますので
些細なお悩みやご質問などお気軽にお問合せ
ください!

最後までお読みくださりありがとうございます^^
少しでも絵のお悩み解決に繋がりますように♪

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