油絵画家が優しく解説!面白い有名絵画のお話

ご閲覧くださりありがとうございます^^
油絵×心像画家の中西宇仁です。
今回は、面白く深く絵画を堪能できる絵の観方についてお話していこうと思います!
絵画と聞くと「ハードルが高い、絵心が無いから・・・」と敷居が高い印象がありますが作品がどのように成り立っているのかを知る事で感覚だけでなく理性から入り込みその奥深さに触れられるようになります。
歴史書の中に記録されている様子や思考、想いなど時代の姿を絵画という形で表した存在でもあるので観る方の中で新たな発見に繋げられ、一皮向けた人生観を得る事が出来ます。
情緒・哲学・倫理・人生観など様々な要因を目に見える存在で表した絵画の面白味を辿ってみましょう♪
目次
【 なぜ絵画は難しく感じるのか? 】
絵を観た時に「どのように観れば良いのかわからない、自分にはセンスがないから・・・」と鑑賞に対し抵抗感を抱くことはありませんか?
自分には絵心がないから、感性の世界はわからない、敷居が高い印象を持たれる方が多いですが身構える事は全くありません!
現代社会では観る人が感じたままに、という考えが一般的に持たれていますがその感じるまでの道というものが存在します。
現代では抽象画など内面性を表した絵が多いですが歴史上で見ると絵画の中では新しいジャンルです。
西洋絵画では、15世紀頃から油絵の作品が広がります。
日本では戦国時代でしょうか。
当時、プロテスタントとカトリックが信者獲得の為にお互いの派閥を争っていました。
当時も絵は、天井や壁に描かれていましたが国民に身近な存在にしようと写本に起こしたりキリスト教やギリシャ神話の世界を絵にお越し、人々に親しみを持たせる為に宗教画が描かれていました。
言い換えれば教会側の宣伝ポスターのようなものですね。
親しみを持たせる必要があったのでそれまで険しく厳格な表情をしていた絵も柔らかで優しさを感じるような表現へと変わります。
聖母マリア様の絵は、表情が柔らかいのもその為です。
マリア様がむきっー!と険しい顔をしていたら怖くて近寄れません。
15世紀は貿易も盛んになり国同士の交流が生まれ人々の価値観も変わり社会の興味が人の生活にシフトしていきます。
仕事風景や家族団らん、ピクニックしている様子やなど人がメインの作風ですね。
和やかだったり不倫をにおわすような風俗画は人の仕草や表情などから隠されたストーリーが垣間見れます。
18世紀頃に入るとルノワールやシスレーといった印象派と呼ばれる作品が現れてきます。
明確な形は描かずぼかしたり絵具を厚く塗る事でリアリティではなく人や風景の印象を表し始めます。
この時点で、見たままをそのまま描き起こすのではなく内面性を表すという動きが現われてきますね。
20世紀頃では、ピカソをはじめとしたキュビズムなど具象要素から離れ無形な抽象表現が芽生えてきます。
かなり駆け足となりましたら絵画と一言で言っても時代の流れと共にそのスタイルを変えてきました。
写実画が人気の時代でも威厳ある表現が良い!という古典主義だったりもっと女性らしさや可愛くしようよ!と、表情が柔らかになり服装も華やかになるロココ美術。
戦争や革命、血なまぐさくとも権力には屈しない!と、緊張感あるストーリー性を感じるロマン主義と枝分かれしていきます。
絵画は社会性、価値観など時代の表情を写し出した媒体でもあります。言い換えれば文章だらけの歴史書を絵と言う形に表したモノとも言えます。
これらは、人の知性や価値観、哲学性にうったえかけるものです。
絵画は必ずしも感情だけで体感するのではなく人の歴史や想いを総合して触れることが出来る存在であるという事を述べたいと思います!
1つ例え話をします。
ワンピースのウソップ登場回では、海賊が来たぞ~!と嘘をつき村人を困らせる場面があるのですが、パッと見、迷惑な人という印象です。
ですが、蓋を開けると病に倒れた母親を元気つける為に海賊である父親が帰ってきたと優しい嘘をつき始めたという背景があります。
どうでしょう、最初のウソップの印象と背景を知った後では印象は変わりませんか?
絵画も同様でぱっと見の印象では触れられない背景を知る事で作品の存在感を深く体感する事が出来ます。
【 作品例:大衆居酒屋にいるおっさんにしか見えない神 】
ここからいくつか絵画の背景をご紹介したいと思います。
まずは、1作目として「バッカスの勝利」
まずはじっくりご覧ください。

17世紀では、バロック美術と言われる表現の思想がありました。
バロックとは、「不揃いな、気まぐれ」など厳格な表現をちょびっと崩そうよという意味があります。
バッカスと聞くとお酒好きな人の中にはピンとくる方も居られるのではないでしょうか?
そう、神話に出てくる酒の神様です。
バッカスはブドウ栽培からワイン造りを考案します。
酒の神様というだけあって愉快な祭りを考え自分の信者たちとお祭り騒ぎの日々でした。
一見、愉快な神様ですが各地を放浪し信仰を広めるなか、歯向かう者には残忍な罰を与えたりバッカス祭りを否定する者達(王族など位ある人達)を八つ裂きにするという狂気さも持ち合わせています。
現代で例えたら俺の酒が飲めねぇのかこらー!!というパワハラ上司ですね。
さて、このように2極化する面を持つバッカスですが最初にこの絵を観た時とバッカスの背景に触れた後では感じ方が変わりませんか?
画面中央にいる白肌の人がバッカスです。
それまで神様を描いた絵画は、神々の世界が描かれているものが多いのですがこちらの作品は、庶民と肩を並べて大衆酒場で過ごす飲兵衛のような様子で描かれています。
バッカスの前にしゃがんでいる人の頭上に草冠を被せる様子はネクタイを頭に巻くような印象があります。
【 作品例:やっと終わったひと安心 】
19世紀フランスの印象派画家であるエドガール・ドガの花束を持って挨拶をする踊り子という作品です。

ドガの作品では、バレエなど踊り子の様子を描かれた作品が有名ですね。
ドガは、国民衛兵として戦争で従軍した際に目をやられ網膜の病気を患いました。
視力が衰えていく中、明るい色を主張した表現はドガの心境が込められているのかなと思います。
この作品の物語としては演技が終わった後の舞台挨拶が描かれています。
中央にいる花束を持った踊り子の表情に注目してみましょう。
この表情からどのような印象を受けましたでしょうか?
僕は決して綺麗な表情とは思えません。
演技中は、表現に合わせた表情をしているかと思いますがこの場面では、踊り子の素が表れているのかなと思いました。
ドガの作品の特徴として、人間らしさがあります。
この作品では、演技が終わり舞台が終焉するタイミングですので踊り子からしたらやり遂げた、安堵した瞬間の表情が描かれています。
ドガは視力が悪い状態にも関わらず写真家が対象人物の一瞬現れる偶然の表情を描いてきました。
一瞬の中に生まれる奇跡的な動きが彼にとっては美を感じていたのかもしれません。
【 写実と抽象が入り混じる夢の空間 】
20世紀を代表するシュルレアリスムのサルバドール・ダリの作品、記憶の固執です。

ダリは自身の制作方法を偏執狂的批判的方法と称し、写実表現を用いりながら抽象的要素を融合させた夢のような風景画を描いていたとされています。
記憶の固執では、置くから岬・時計・木の枝・ハエと具象モチーフが置かれていますがリアルな描写ではありません。
奥にある断崖はダリの故郷であるスペインのカタルーニャ州のクレウス岬が描かれています。
溶けている時計は、夕食で食べ残された溶けかけのカマンベールチーズから着想を得たとされています。
ダリはこの作品に対して、アインシュタインが発表した相対性理論の具象化であるとしており時間さえも不定であり確かな存在は死のみであるという考えから表現されたようです。
チーズも最初は固形でも熱が徐々に入るについれてその形状を変えていく様子は時間が進むにつれて変化していきます。
その存在が変わらないというのは確かに死だけなのかもしれません。
時間と言う存在も時が進むというのは変わるという事なのでチーズの移り変わる様子から時計を溶かしているのかもしれませんね。
時計に止まっているのはハエなのですがハエが飛ぶ様子から時は飛ぶ、を表していると言われています。
時が飛ぶという事は、全く変わらない存在ではないというわけですね。
抽象的表現ですが単純に感情任せではなく内面性とは別に客観的に捉え落とし込んでいく表現ですね。
【 絵画が楽しくなるポイント 】
さて、いくつか作品例を挙げましたがいかがでしたでしょうか?
パッと見の印象と背景に触れてからだと捉え方が変わったのかなと思います。
ここからは絵画を観た時に何処を見て行けばよいのか?
楽しむコツについてご紹介します!
●時代背景に触れる
昔の絵画は、時代背景を捉えた表現が中心でした。
15世紀では、信仰心を獲得する為に神々との距離感を縮める為に宗教画が描かれたり人々の交流や文化、価値観が入り混じるようになると人の生活を描き始めた風俗画へと変わるなど、社会ニーズが含まれました。
パッと見の印象では得られない水面下に潜む時代背景から入る事で当時の人達が何を抱いていたのかを知り、単純な感情ではない観方が出来ます♪
●表情やしぐさから辿る
絵には、必ず意味がありその配置や形で構成されます。
聖母マリア様の柔らかなほほ笑みは信者の内面に寄り添う姿勢が見られ、厳格な表情であれば威厳を示す為に描かれたりと登場人物の様子から、どのような世界観で何を表したいのかを探れます。
1つ1つの姿勢を辿っていく事で作品の中身に触れていけます。
●モチーフの意味
画面上に置かれているモチーフも意味があるからこそ配置されています。
先ほどの記憶の固執では、変わりゆく存在を表す為にチーズが溶けたような時計が描かれています。
アダムとイブで有名なリンゴにも「知識・知恵・誘惑・禁断・堕落・罪」の象徴とされています。
そのモチーフの意味に触れる事で関わる人や物から生まれる物語が始まります!
僕も絵を描く時は、体勢やモチーフの意味をくみ取り描きますがここを拠点として世界観が広がりますね。
●作者の視点から絵を見る
作品は描き手から生まれます。
その人の心境・知識・社会性・信念・価値観など目に見えない根っこの部分を絵画と言う形で表します。
ドガなら視力の低下と共に光を失っていくが描く絵には光や人の一瞬の表情など状態とは真逆な表現があります。
ダリなら自分の内面性と論理性を合わせた表現などその作者の人物像や背景を知る事でなぜその表現に至ったのか?、と深く入り込めます。
絵画のジャンルや違いについて、別にご紹介しているのでこちらからご覧ください♪
なぜこの場面を描いたのか?
何を鑑賞者に届けたいのか?
人生の中でどのようなものを抱き表したのか?
作品は作家の全てが形となった存在です。
ただ色が綺麗、姿形が整っているのを見るだけではありません。
古来から人が時代を経て、生活や価値観、うったえたいことを残してきたのが絵画です。
表面的な体感ではなく人の根本に近い領域から深く体感できます^^
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最後までお読みくださりありがとうございます^^
少しでも絵のお悩み解決に繋がりますように♪












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