2025-12-26

絵画技法解説!スカンブル技法とは?グレーズとの違い

ご閲覧くださりありがとうございます^^
油絵×心像画家の中西宇仁です。

今回は、モネやルノワールの絵のように描く為のスカンブル技法についてお話したいと思います!
印象派と呼ばれる画家達が用いていたのがスカンブル技法です。
絵を描くとひと言で表しても描き方によって多様な表現へと変貌します。

自分が描き出したい内面的な部分を絵と言う形で表す方法を身に着ける事で今までよりワンランク上の表現力を手にする事ができます!

1つの参考としてご覧頂くださいませ^^

また、リアルに描く為のグレーズ技法についてはこちらでご紹介しております!

【 スカンブル技法の歴史 】

スカンブル技法は絵具を厚く乗せ擦れさせた描き方が特徴です。

この技法は19世紀頃にモネやルノワールなど、印象派と称される画家達が生み出した技法です。

西洋絵画の流れとして、15世紀にリアリティを追求した写実主義から「もうちょっと砕けようよ~」、厳格的な表現から人間味を含めたバロック美術へと代わり女性らしさや可愛らしさを強調したロココ美術、革命など人々の叫びや物語性を表したロマン主義へと内面性を表し始めてきます。

その流れの後に雰囲気や印象的に表すのに活用されたのがこのスカンブル技法です。
ただ、17世紀のバロック時代から絵具を強調した作品が表れてきたので主流となった19世紀より前から生まれていたのかなとは思います。

【 技法を用いていた画家 】

ここでは、スカンブル技法を用いていた画家達を何人かご紹介したいと思います!
技法1つを取っても描き手によって描き方が異なります!

●レンブラント

17世紀、オランダの画家です。
フェルメールやルーベンスとならぶバロック美術では欠かせない人ですね。
油絵の具の名称でもありますね!

レンブラントといえば光と陰影を強調した存在感のある描き方ですがこれを可能としたのがスカンブル技法です。
性格には、グレーズ技法とスカンブル技法の両者を兼ね合わせた描き方でしょうか?
印象派以前の橋渡し的な技法で描いていたのかなと思います。

こちら、レンブラントの自画像画を見ると一見、リアリティある描写ですがどこかこの人物の雰囲気がストレートに伝わってくるような印象を感じます。

Wikipedia引用

絵具を厚く塗る事で色彩を強調し、メリハリが生まれるので印象的ですね。

●ルノワール

19世紀を代表するフランスの印象派画家です。
元々は貧しい仕立て屋からはじまり聖歌隊や装飾職人と多様な経験をされてきたようです。
同年のモネともシャルル・グレールという画塾で交流もあったようですね。

ルノワールの作品は、広場や公園で人々が日中の中で過ごす様子がイメージされますかね。
印象画は、それまでに絵画表現としては異質で特にルノワールが批判された作品を1つご紹介します。

それが、「陽光の中の裸婦」
当時は陰影の表現として青色が使われていましたが自然界ではそんな陰影の色は存在せずアルベール・ヴォルフという批評家から「なんだこの肌は腐っているのか!」と非難されたとか・・・

Wikipedia引用

スカンブルは写真のように緻密な絵とは異なり写実的ではあるがどこか暖かみや印象深い部分があるのかなと思います。
これは勢い任せではなく技術として組み立てて描く事が出来るので現代に生きる我々も活用できます!

【 スカンブル技法の特徴 】

スカンブルは、絵具を擦れさせて上塗りします。
重ねて塗る方法ではグレーズ技法と被る所がありますがブラシや豚の毛など硬い筆で擦れさせる事で厚みのある個所と薄く塗る箇所と分かれるので明確な違いを生み出せます。

特に擦れさせた部分はかすかに下層の色が表れるので視覚的に混色されたかのように見える効果があります。
分割筆触の様に色を配列化して分けていく要素があるので1つ1つの色を活き活きとさせられますね。

厚く塗れば表面に凹凸やざらつきとマチエール感を表せ薄く引き延ばせばグレーズ要素を入れ込めます。
写真のような写実画みたいに完成しきらない美しさ!というのを表せる描き方ですね^^

扱う絵具は、不透明絵の具が乗せやすいですがこの後詳しくご紹介します!

【 グレーズ技法との違い 】

下層の上から絵の具を塗る、という点ではグレーズ技法と同じですが用途は異なります。

     | グレーズ     | スカンブル   |
絵具 | 透明色       | 不透明色     |
効果 | 内側からの光 | 表面の空気感 |
印象 | 深く静か     | 柔らかく曖昧 |
時間 | 乾燥必須     | 比較的即時   |

このような違いですね。
グレーズは、絵具の透明感を活かしていますがスカンブル場合は表面的な部分で印象付けます。

「塗り重ねる」と一言で言っても状態や重ね方によって印象はがらっと変わりますね。

【 スカンブル技法に必要な画材 】

スカンブル技法は、背の具の性質や描き方によってその印象を決定付けます。
それぞれ見てみましょう!

●絵具

重ねる絵具は、不透明絵具が重ねやすいですね。
必ず不透明絵の具でなければいけないという決まりはありませんが透明系絵具だと透明感が高すぎて重ねてもハッキリした色を乗せずらいです。

●筆

絵具を厚く押し出して塗るのでコシのある豚の毛やブラシなど硬い筆が最適です。
柔らかいと絵具のコシに負けてしまい塗り切れなくなりますね。
筆を使っていると固まっていく事もあるかと思うのでもうパサパサして使えない筆も再利用できますよ!

スカンブル技法は、塗りだす為の絵具と筆の性質がセットになるので相性を意識して揃えてみると良いかなと思います^^

【 基本的な描き方 】

スカンブル技法は、コツさえつかめばグレーズに比べてテンポよく描き進められます。
スカンブルの描き方について見てみましょう!

●STEP1:下層を描く
どの絵でも共通の下塗りです。
ここで1層目が出来上がります。

●STEP2:不透明色を乗せる
絵具を1層目の上に置きます。
量としては、少量から置いていくと描きやすいですね。

●STEP3:擦るようにのせる
硬い筆を用いて絵の具を擦れさせるように塗ります。
絵具と筆との距離や力の入れ具合などを意識して塗っていきます。

描き方として難しいのは、力の入れ具合ですかね。
慣れもあるので試しながら進めていくと良いかなと^^

【 スカンブル技法が向いている表現 】

これといって決まりはありませんが個人的には、印象画と呼ばれるように感情など内面性を表しやすいですね。

景色なら晴天で気持ちの良い空なら流動的な雲を描いてみたりモヤモヤする気持ちを表すなら背景をモクモクとさせてみたり。

絵具にも厚さや勢いが乗るので写実的では表せない描写が出来ます。
19世紀に印象派というスタイルが生まれますが現代のような形のない抽象画はこの時代の後から生まれます。
内面性を写実的に捉えたり抽象画として描くなど幅広い描き方が出来ますね♪

【 描き方より在り方 】

技法は、感覚やその場しのぎではなくその画風が成り立つまでの仕組みがあります。

よく私がメルマガ読者さんや発信している事で、「手段に縛られてはいけない」という事を伝えています。

手段というのは、自分が成したい事や実現したい事を具現化する為のスキルです。
そのスキルに寄りすぎてしまうと自分は本当は何を表したいのか?が、わからなくなる事があります。

技法は先人達が自分がいかにして表していけるかを煮詰めて生み出したものです。

手段に使われるのではなく使う側として絵を描いていくと今までより素敵な表現へと繋がるのかなと思います^^

話は変わりご紹介となるのですがブログでは伝えていない限定した情報や資料などをお届けしております!
無料ですのでお気軽にご覧頂けたらと思います♪。

オンラインを活用したマンツーマンでの絵描きサポート
などもご提供しております。

また無料相談も受け付けておりますので
些細なお悩みやご質問などお気軽にお問合せ
ください!

最後までお読みくださりありがとうございます^^
少しでも絵のお悩み解決に繋がりますように♪

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