西洋絵画の成り立ち 表現の変化・信仰スタイルに合わせた表現
こんばんは、変化は生きる糧。
油絵×心像画家の中西宇仁です^^
絵画は、最初から絵画という形を持っていたわけではありません。
表現というものは、その時代に住む人たちの意識が反映され具現化されてきました。
今回は、絵画の原点である洞窟画からどのように表現のスタイルが変わってきたのか?
その第2弾をお話していこうと思います^^
絵画が生まれる前、
アートの起源についてお話しております!
はじめての方は、こちらからどうぞ^^
→ 西洋絵画の成り立ち 表現の変化・起源から~その1
関連記事では、アートの起源は洞窟画から始まり
文明の発達により表現形式が変わってきました。
人類がデザインを初めて意識したのだと思うのですが
土器に模様や生活様式を描き始めました。
人間の肉体美を表すための彫刻が発展し、
神の加護を受けた皇帝やお偉いさんの権威を示すものとしても
需要がありました。
国民の不満が高まる中、国民にも加護を与えるということで、
キリスト教の布教が始まり宣伝活動として、宗教をモチーフにした
表現が壁画として表れ始めてきました。
この記事では、それ以降の表現についてお話していこうと思います^^
【 西洋絵画の歴史: 信仰スタイルに合わせた表現 】
宗教の宣伝として、壁画が取り入れられるようになったとお話しました。
教会堂側としては、なるべく多くの人を入れたいところ。
そこで、教会堂の造りとして大勢が入れることが必須条件となります。
この300年代の造りとしては、長方形の空間を柱で仕切ったパシリカ式や
中央にホールを置いて空間が広がる集中式など教会堂の造りがわかれています。
素材は、大理石や色彩豊かなガラスを取り付けたり金で出来た装飾などゴージャスに
造られていました。
ただ豪華にして人目を引くのを目的にしているのではなく
霊的・神秘的な印象を表すのに天上界と地上の差を建築によって表そうとしていました。
宗教壁画が天井や高い位置に描かれているのには、そのような意図があります。
宗教という形ない存在をより一層、身近に感じ得るようになるわけですね。
この表現は、キリスト教美術を始めとして
ビザンティン美術、ロマネスク美術へと続いていきます。
ここまでは、12世紀前後といったところでしょう。
1200年あたりですね。
ここまでは、壁に描いた絵が主流でしたが
表現媒体がまた変わります。
その媒体が ” 写本制作 ” です。
写本とは、
「 手書きで複製された本や文書 」
(Wikipediaより)
と定義されていますね。
それまで教会堂などの壁に絵が描かれておりましたが
実際にその場へ向かう必要があります。
信仰をもっと人々の身近に近づける為に本などの
紙媒体に宗教画を描き写すようになりました。
写本の制作は、修道院で行われておりましたが
徐々に町工房の制作へと変わっていきます。
パリの町工房の表現が評価され他国のお手本になりました。
このあたりの時代を「 ゴシック美術 」と呼びます。
14世紀にはいると信仰心もプライベート志向へ変わります。
個人的に神様と向き合うようになるということですね。
そうなるとそれまで厳格な表情をしていたマリア様も
穏やかな表情になり親密感や安心感をあたえるような表現へと
変わります。
それまでの宗教画は、人間が踏み込めない神の領域とされているので
厳格な姿勢を見せてきたわけですがより一人一人に近い存在とするために
優しさや安らぎを持たせた表現へ変わったということです^^
ここまでの流れとしては、
①教会の宣伝として、信仰をモチーフにした壁画が描かれていた。
↓
②教会へいくまでもなく宗教をより身近にする為に写本で表し始めた。
↓
③神様と人との距離を縮める為に、表情を和らげ親近感が持てるような表現
へと変わっていった。
宗教画はパッと見、神聖な雰囲気を観る人に伝えますが
細かくかみ砕くと発信側(教会堂など)がいかに人々に受け入れられるか?
意図して、表現のスタイルを変えて広めました。
アート絵画とは異なる目的と意思で生み出された絵画というものが
当時にはありました。
それだけ絵画のもつ影響というのは、大きかったと言えるのではないでしょうか。
ここまでは、人と神様の関係が強く結びついた表現がされてきましたが
徐々に神離れが進んでいきます。
その心情変化も当時の表現はとらえているので次回はそのようなお話を
していこうと思います^^
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