写実主義とは?絵画の特徴・歴史・代表画家を解説
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油絵画家の中西宇仁と申します。
今回は、西洋絵画の中でも人気であるロマン主義、社会と対立した写実主義についてお話していこうと思います。
モネやドガなど、国内で人気な印象派の絵画がありますが、その前にバチバチを火花を散らしていたのが正反対な写実主義です。
印象的な絵画に対し、リアルを追求した絵画でありますが現実的なメッセージ性が込められています。
写真のようにそっくりな絵ではなく、現実の中にあるリアルを抽出した絵の世界に潜り込んでみましょう!
【 写実主義とは? 】
写実主義(又は現実主義)は、19世紀のフランスを中心にルネサンス以降の現実を忠実に描く事を目指した芸術運動の1つです。
空想に寄らずに現実の世界のありのままを描く事を主張したスタイルで一言で言えば、昔ながらの伝統を重んじた考えです。
19世紀では、ロマン主義やロコロ美術など歴史的ストーリーや人の可愛らしさ、印象的な空間を描く絵が主流でしたが、これらの絵に対し、「 あんたら何チャラついているんだ!」と対抗として唱えられていました。
古き伝統 VS 新たな表現が繰り広げられます。
写実主義は、理想化された人物や物語ではなく現実の社会や人々を題材にしています。
日常生活や仕事風景など絵画の主役になりにくかったものが描かれています。
対する他の〇〇主義は、神話や歴史などの題材に対し、過剰な表現や非現実的な描写が多く、現実感が不足していまいた。(写実主義からみると)
写実主義からしたら、「そんな絵は現実的じゃない!ただの絵空事だ!」と批判していたわけです。
昔ながらのリアルな描写と生活風景を描いた絵は、シンプルなのでわかりやすかったわけです。
20世紀に入るとロシア革命をキッカケに社会主義リアリズムが成立し、その後アジアにまで広がっていきました。
社会主義リアリズムとは、ソビエト連邦のような社会主義国が決めた美術、音楽、文学などの表現方法の指標です。
特にロマン主義では、ストーリー性のある絵ですが内面的な部分を表したスタイルですが写実主義の絵は、現実をどのように捉えてリアルに描くかという対称的な位置ですね。
【 写実主義が生まれた時代背景 】
写実主義は、ブームに乗っている他の絵画と対立しているとお話しましたが、ただ口うるさくしているのではなくそれなりの理由があります。
大きな影響としては、当時の社会情勢が関係しています。
それは、ヨーロッパに影響を与えた産業革命です。
機械化による産業の加速により労働者が都市部へ集中します。
資本家や労働者との間に大きな経済格差が広がるなど、今まで当たり前であった仕事や生活が変わってきます。
そうなると人々は、時代の流れに不安を抱くようになり「昔の伝統や価値観を守ろう」と広がったのが写実主義です。
15世紀頃までは、まだ写真もなかったので記録として肖像画など絵画の需要はありましたが、技術の発展により写真が発明されてからは、絵画で残す必要がなくなりました。
そこでロマン主義やロココ美術の誕生により、絵画の在り方が変わり始め、危機感を抱いた人達は批判するようになったわけです。
現代でも携帯電話からスマートフォンへの切り替えで難儀した人は居られますよね。
アナログであったものがデジタルへ変わる事に戸惑いを抱く。
昔は特にその不安感が強く美術界への反発が強かったわけです。
写実主義が必要になったのも時代の変化による美術の在り方への危機感から生まれました。
例えば昭和の時代、まだ冷蔵庫がなかった頃は氷屋という仕事があり大きな氷を冷蔵室に入れていましたが、今のような家電製品が生まれてからは氷屋の需要がなくなり廃業となりました。
今まであったものが失われていく不安感からの訴えでもありました。

【 写実主義絵画の特徴 】
写実主義と聞くと、「写真のようにリアルに描いた絵」というイメージを持たれる方も居られるかもしれません。
写実主義の方向性としては、”現実世界のリアル”を描いた絵です。
それまでは、聖書や作られた物語、内面的な部分を描き出した絵が主流でしたが目に写る出来事をテーマに描いており労働者や現実の風景を混じりけなしで描いた絵が多いです。
落ち葉を拾う姿や農作業、列車の中の光景など、日常生活そのままの姿を描いています。
聖書や物語のように英雄は居らず、現実に生きる人達が登場人物です。
19世紀のフランスでは共和制による臨時政府が成立し、理想を実現しようとする働きが美術にもおよび日常的で現実的な事をテーマにする写実主義が生まれます。
当時は歴史的な絵を頂点にするという考えがあり、農民や労働者を描いた作品は一種の社会的抗議のように受け止められていたとされていますが、共和派の人々には受け入れられていました。
このように社会的事情から、現実にあるリアルを描いたのが写実主義の絵画です。
「じゃぁ、風景画も写実主義なの?」と思われるかもしれませんが、風景画は自然主義風景画というジャンルになり、自然そのものを描いた絵になります。
写実主義の絵画の特徴を一言で表すと、
「理想化しすぎない絵画」ですね。
人物を影響や偉業など美しく見せる為に現実を変えるのではなく、現実そのものの姿を描こうとしました。
それは、社会の現実も当てはまり貧困や労働など当時の時代背景を捉えた現実も含まれています。
ロマン主義のように「特別なものだけが絵になる」という考えとは真逆ですね。

【 写実主義を代表する画家 】
写実主義は、社会情勢の事情から影響を受け、他の絵画の在り方とバチバチしていました。
先頭に立ち率いた画家達をご紹介します!
●ギュスターヴ・クールベ
写実主義を語るうえで特に重要な画家です。
当時のアカデミー(美術教育機関)では、歴史的な絵が最高だという考えがあり、労働や農民の絵は社会的抗議として受け取られていました。
そこへ、クルーベがサロンが「オルナンの埋葬」を出展し、レアリスム運動のリーダーとみなされました。
クルーベは社会的な信念があったわけではありませんが、パリ万国博物館への出展を拒否されると「なんだと!?」と、展覧会の近くで個展を開催し、政府や美術界の在り方に対抗したフランス画家です。
なぜオルナンの埋葬をキッカケにそうなったかのかと言うと、この絵は聖書のような英雄はおらず、ごく一般的な農民の埋葬する様子を描かれた絵です。
何の変哲もありませんが、クルーベは埋葬の絵を通して、「ロマン主義の埋葬」と語り残しています。
ただの農民の埋葬ではなく水面下には、そのようなメッセージがあり美化せずありのままの現実を描き示しました。

●ジャン=フランソワ・ミレー
「種をまく人」の絵で有名なバルビゾン派のフランス画家です。
バルビゾン派とは、ありのままの生活や自然を描く一派です。
農民の生活をメインに描いた画家ですが、農民の貧困から悲惨さを訴える政治的なメッセージと受けてしまい、論争の対象になりました。
このように色々あり、バルビゾンへ移住後、第二帝政の時代となってからは高い評価を受けるようになりましたが反対に酷評を受ける事にもなりましたが、社会的に民主化が進むとミレーは政治的支援を受けるようになり注文を受けるようになりました。

この時代は、社会情勢の影響を美術界も受けており特に写実主義は、貧困など国民の”リアル”を忠実に描いた事で反発精神があると批判を受けていました。
それでも画家達は、絵空事や理想、英雄譚などに頼らずありのままの現実を描きました。
1を10にするのではな、1は1であるという事を貫き通した人達です。
【 写実主義=写真のような絵ではない 】
写実主義の話をすると、「写真のように描いた絵なの?」と反応をされる事があります。
僕も知らない頃は、写実主義という名を聞くと同様に思いましたし、ご覧になられている方の中にも写真のようにリアルな絵で描いたものでしょ?、と思われるかもしれません。
結論から述べると、写実主義の絵はリアルな写実を描く絵ではありません。
写実的な描写とは、描き方です。
人や動物、自然の形式など具体的な形状を持つ存在が写実的なものであり、それを描き出したのが写実的な絵です。
ですが、写実主義は美術界に対する思想や運動です。
ロマン主義のように革命や戦争に対し、美化して増しましにするのではなく、日々の生活に映る姿を忠実にそのまま描き出した表現です。
そこには、貧困や苦労など人々が抱えるものがありそれを増長せずありのままの現実を描いたのが写実主義に生きる画家達が描いた絵です。
思想や表現性から反社会的だと反発を受ける程なので、写真のようにリアルに描く絵とは全く別物です。
【 写実主義から印象派へ 】
写実主義の絵は、社会の暗い部分を描いたスタイルです。
「ちょっと暗すぎたな・・・」という事で、皆さんご存じのモネやルノワールなど印象派の時代へと進みます。
モネの睡蓮やルノワールの公園の絵などを見ると全体的に明るい印象がありますが、写実主義と相対的な面があります。
写実主義では、貧困という社会情勢の闇の部分をリアルに描いた絵ですが、印象派の場合は自然や人々のやり取りの愉快な所や明るさを描いています。
要は写実主義の絵が闇で印象派の絵が光ですね。
印象派では現代の人たちの生活や風景など身近な部分を光や色、タッチで表し心象的に抱く景色を描き始めました。
また、産業革命後に絵具の持ち運びも容易となったので屋外での制作も可能となったのは、それまでに絵のスタイルと大きく違う所でもありますね。
印象派についてはこちらで詳しくご紹介しておりますのでご一緒にご覧くださいませ♪
【 写実主義の絵の鑑賞ポイント 】
写実主義の絵を楽しむコツとしては、時代背景を捉えておくと良いかと思います。
産業革命により、人の移住や変化による貧困の格差など発展する面もあれば衰退する面がある時代です。
農民など貴族ではない庶民の生活が描かれる事が多いので、この絵に乗っている人達は誰でどのような状況なのか?、なぜ暗い色が多いのか?、と思考を巡らせていくとその時代の生活や社会問題が垣間見れます。
そして、その絵を描いた画家達は何を抱いたのか?と作者へ繋げる事で、現代のようにただ直観的に感覚的に捉えるのではなく理性を持って、別の角度から美術を楽しめるようになります。
美術館へ行けば説明文が掲載されているので文字が小さく長くて読むのが大変かもしれませんが、せっかく絵を観に行くからには堪能して有意義な時間に昇格してみても良いのかなと思います!
【 リアルに描く事と現実を描く事 】
ここからは、僕が抱く考えですが、
絵と言うのは、見たものをそのままコピーするだけではありません。
描き手によって、同じテーマで描いても構図や色使い、筆跡が異なります。
それは、強調したいものを具現化する為の表現のスタイルです。
写実主義のようにあるがままの現実を描く為には、写真のように忠実に描くのではなく、「現実にある何を描き出したいのか?」だと思います。
その何かを描きだす為に、色を暗めにして滑らかに絵具を乗せるのか、それとも筆跡を少しぼかして現実のリアリティを表すのか?
写実的な絵もロマン主義のように物騒な話にストーリ性を持たせたりロココのように表情を豊かにさせたり、印象派のように色使いや筆跡を活かして世界を明るくさせたりと様々です。
写実主義も「捉えた現実をいかに忠実に表すのか?」という点では、同じではないかと僕は思うわけです。
リアルに描くというのは、表面的な部分でしかなくもっと根本の根っこの部分としては、「自分が見たものをどう捉えるのか?」という事が、表現者として重要ではないかと思います。
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